厚生労働省は8月27日に公的年金制度の財政検証結果を公表しました。その内容や読み方等は各メディアなどで取り上げられているので、それらを見ればある程度理解できると思います。各メディア共、総じてこの公表結果に大変厳しい見方を示しています。
それはそうですね。超少子高齢社会が続いている状況で、この先長期にわたって現在の給付水準(所得代替率)を維持できる訳はないと随分前から誰もが思っています。
”100年安心”とうたってマクロ経済スライドという仕組みを導入したのは2004年のことでした。この”100年安心”の所得代替率は、現役手取り収入の50%を下回らない年金額を法律で保証したのです。
あれから15年後の今年2019年の財政検証ですが、果たして2004年の”100年安心”は大きく外れなかったのでしょうか?厚労省の公表では6つの経済前提を想定して2115年までを見通しています。この前提では経済成長と労働力(労働参加)が要因となりますが、いずれのケースでも今の制度のままでは50%の給付水準を長期にわたって維持することは困難だと理解せざるを得ません。
つまり、若者が高齢者を支える今の年金制度は早晩破綻する(すでに破綻している?かも)訳で、今後の制度改革は急務なのですね。
では、今後の対策は・・・というと、
①現在、大企業のみを対象としているパートなどへの厚生年金保険料徴収の拡大 ②現在、70歳までの厚生年金加入義務を75歳まで拡大する ③基礎年金(国民年金)の納付義務の上限を現行の40年から45年に延長する ④現在、60歳~70歳の間で選べる受給開始年齢を75歳まで拡大する、 などが挙げられています。
上記①②について・・・企業負担が重くなる・・・中小企業は青色吐息!?(私見)、 上記③④について・・・いくら人生100年時代と言ったって、年金受け取らずに死んでしまっては元も子もない!?(私見)
また、ひとつ疑問があります。「在職老齢年金制度」(一定の収入を得ると厚生年金が支給停止になる)の廃止案があるそうで、この案の趣旨は、”高齢者の就労意欲をそぐ”として見直しするというものらしいです。
果たして・・・この財源は、すなわち将来世代の年金を食いつぶすことになるのではないでしょうか?それに、高齢者の就労意欲と在職老齢年金制度を結び付けることは安直な発想にも感じます。
危機感満載ですね!!公的年金財政検証は公的年金の健康診断とも呼ぶそうです。重篤な病気罹患状態ですね。やっぱり自己防衛手段が必要なようです。老後2000万円とまでは言わないけれど、自分に合った将来設計から目をそらしてはいけないようです・・・。