「失敗の本質」

ここ数カ月の諸事が重なり(雇用調整助成金、労働保険年度更新、算定基礎届など)、やっと一段落した今、読み直している「失敗の本質」・・・・・やっぱり面白いです。

敗戦から学ぶ教訓を組織論的アプローチにより分析しています。

コロナ禍が続いています。テレビ等でコメンテーターの方たちの中で”ガダルカナルじゃあるまいし・・・・・・”的な発言をしているのを何度か聞きました。

ガダルカナルの戦いは、先の大戦を語る上で外せないケーススタディとなっています。この本の中でも詳しく分析しています。この章の初めに書かれているのは以下です。

「失敗の原因は、情報の貧困と戦力の逐次投入、それに米軍の水陸両用作戦に有効に対処しえなかったからである。日本の陸軍と海軍はバラバラの状態で戦った。」

読み進めていくと、その状態がよく掴めます。そしてここで特筆すべきは、殲滅状態の戦いではあっても第一線部隊は非常に果敢に戦ったということがわかります。つまり、粗雑な戦略であっても個々の戦闘において第一線はその練達の技量によりこれをよくカバーした、と分析しています。

政府のコロナ対応にガダルカナル作戦を引き合いに出すことが正解なのか様々な意見があると思います。新型コロナウィルスは未知のウィルス、政府も大変だと思います。ある意味、朝令暮改も必要です。ですが、グランドデザインがなかなか見えません。今もって見えません。どころか、ますます見えません。

日本は第1波において他国に比べて死者数も少なく、法的強制力がない中で奇跡を起こしたような報道をされたことを誇っていました。日本人はきれい好きな民族ですし、そんなこんなの要因があるのでしょう。個々人が真面目にマスクをし、三蜜を避け、日々を過ごしました。そして、何よりも、最前線の現場医療機関、医療技術者が奮闘しました。そして、私の仕事関連で言えば、週替わりのように目まぐるしく変わった雇用調整助成金の内容に振り回されながらも最前線の行政機関の職員の方たちは申請の相談を受け、申請書類と格闘しています。

それが仕事だから当たり前・・・と言えばそれまでなのですが、よく言う”場当たり的”な対策ばかり”作戦司令部”から発出されると、どんなに優秀な現場でも疲弊してしまうでしょう。今年1月のコロナ日本上陸から今は7月・・・・・・そのことがさすがに懸念されます。

以下は、ミッドウェー作戦の章でのアナリシス一文です。深いです。

『戦闘は錯誤の連続であり、より少なく誤りをおかしたほうにより好ましい帰結をもたらすといわれる。戦闘というゲームの参加プレーヤーは、次の時点で直面する状況を確信をもって予想することができない。・・・中略・・・このような不確実な状況下では、ゲーム参加プレーヤーは連続的な錯誤に直面することになる。・・・中略・・・戦場において不断の錯誤に直面する戦闘部隊は、どのようなコンティンジェンシー・プランを持っているかということ、ならびにその作戦遂行に際して当初の企図(計画)と実際のパフォーマンスとのギャップをどこまで小さくすることができるかということによって、成否が分かれる。作戦計画の立案とその達成過程において、どちらがより錯誤が少ないかということがポイントなのである。・・・・・』以下、司令部の錯誤、第一機動部隊の錯誤・・と詳しく分析しています。

現下の状況と戦時の状況を並列に比べるわけにはいきません。でも、ここから学べることも確実にある、と思いながら読み返しました。

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